以前より検討していた、お腹の中に極力糸を残さない事が可能になる医療機器を導入しました!

アクロサージというマイクロ波を使用した医療機器になります。

よく、糸を使わない手術とありますが、腹壁や皮膚は糸で縫合しないといけないので、お『腹の中に糸を残さない』が正しい表現です。

避妊、去勢などの手術では通常、血管を処理するのに数カ月で溶ける糸を使用し、血管を糸で結んでから切断します。ですので必ずお腹の中には糸が残ります。

その残った糸に生体が反応して肉の塊を作ってしまう事があります。そういう生体反応を極力なくす事が重要になってきます。それが出来るのがアクロサージというわけです。

では糸を使用しないで血管の処理はどうするのかというと、マイクロ波によって熱を発生させ、タンパク変性を起こし血管をシーリングします。イメージとしては、真空パックを作るときにシーラーでシーリングするのと同じような感覚です。シーリングできたら切断すれば糸を使用しなくても、出血しないというわけです。

アクロサージにより糸も使用しなくてよくなり、手術・麻酔時間の短縮にも繋がります。

先日行った大型犬の腸管破裂の大手術では大活躍で、大幅な麻酔時間の短縮によりわんちゃんへの負担軽減になりました。

動物にとっては良いこと尽くしですね!

この記事を書いた人

金澤 崇史

2006年大学卒業後、2006~2012年の間関東圏3ヶ所の病院に勤務。2012年からは眼科専門病院に勤務し眼の専門的な医療に携わる。2015~2018年にかけて神奈川県の病院の分院長を務め、2018年からは東京都にしやま動物病院に勤務。2022年4月、東京都武蔵野市に吉祥寺あおぞら動物病院を開院する。比較眼科学会、日本獣医がん研究会、ねこ医学会、国際猫医学会に所属し、特に眼科診療を専門とする。